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169日目 革命の夜 わんらびさん講習

11月29日金曜日。
俺は大都会の夜空の下にいた。
花の金曜日。
街を行き交う人々の様子もどこか浮き足立っているように思えた。

遥か平安の昔、かの清少納言は「冬はつとめて」と記した。
文学史上最高峰の天才女流作家の考えに底辺ナンパブロガーが意義を唱えることなど決して許されることではないが、俺は冬の朝よりも冬の夜が大好きだ。

冬の夜の街は俺を感傷的にさせる。
なぜだか分からないけれど、街を歩いていると涙がこぼれそうになる瞬間がある。

早く到着していたので気の向くままに歩き回っていたのだが、普段ナンパをしている場所も今日はどこか違って目に映った。

集合場所付近をウロウロしながらその時を待つ。
そわそわして心が落ち着かない。

俺の世界は不可侵なスタンドアローンの世界。
この現実世界には確かにナンパ師と呼ばれる人間が一定数存在していて、日夜女に声をかけている。
彼らはインターネットで情報を発信しているし、街に繰り出せばこの目で彼らの存在を確かめることも出来る。
しかし俺は自分の閉じた世界を生きているのだから現実世界の他のナンパ師の存在など本質的にはどうでもいいこと。
世界の外側のことなど俺の物語の本筋には関係ない。
そう思っていた。

だがそんな俺がこの現実世界を生きる一人の"本物の凄腕"によって閉じた世界の外側に引っ張りだされることになるとは夢にも思わなかった。

2週間前、雨の降りしきる街でその"本物の凄腕"との邂逅を果たし「あちら側」に飛び出した俺は、その2週間後に"もう一人の本物の凄腕"とあいまみえることになった。

今でもまだ2週間前に雨の中でミタさんと会ったことは夢の中の出来事のように思える。
大雨の中デパートの軒下で二人で立ち話をした時の光景。
あの時確かに俺の閉じた世界に小さな風穴が開いた。

そしてまた俺の物語は新たな展開を迎える。



携帯が震える。



「どこすかね」



少し探したがすぐに落ち合うことが出来た。

わんらびさんはスラリとした長身のイケメン。
もう身に纏うオーラからして違う。
その時はいかつい格好だったがどんな服装でも似合いそうだ。
そして話が上手。


カラオケに入り講義を受ける。

その1時間半は夢中だった。

開始早々話に引き込まれ、時間を忘れてしまうほどに。

これはただのナンパの講習ではない。

ナンパを通して人生そのものをよりよく生きるための本質まで切り込んだとてつもなく密度の濃い内容。

別に大げさでも何でもない。

この2年間、自ら創造した「閉じた世界」に閉じ籠ってきた聞き分けの悪い俺がそう言うのだから間違いはない。

世界が反転するとはまさにこういうことなのだ。

たった2時間で自分の積み上げて来たものが全てバラバラに崩れさる。
それは暗闇の先に一筋の光が差すような、創造的破壊。

カラオケを出てわんらびさんと話しながら夜のオフィス街を歩く。
その時間は非現実の世界を生きているような不思議な感覚だった。

努力の方向性は間違っていたしそのために膨大な時間を浪費してしまったけれど、俺は今このタイミングで2人の本物の凄腕と会うことが出来た。
それだけでこの2年間は無駄ではなかったと心の底からそう言える。

最後に握手を交わした後、夜の街に消えて行く彼の背中を見ながらそんな思いがこみ上げてきた。


後は全て俺次第。


俺の物語の第二章は今ここから始まる。





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